実は誰も見たことのないピックアップ障害とは?
ピックアップ障害とは、『排卵した卵子を卵管内に取り込むことが出来ないこと』を指します。
本来であれば、排卵された卵子は卵管采と呼ばれる器官に取り上げられて、卵管へと送り出されます。
しかし、この卵管采がうまく機能しないと、卵子を卵管に送り出すことができなくなります。
すると、精子と出会うことが出来ません。
卵管采とは、卵管の先にある部分で、手のひらを広げたような形をしてます。
そして、排卵に合わせて卵巣に近づき、卵子を取り込むと考えられています。
ピックアップ障害が起きると、卵子と精子が出会うことが出来ないため不妊症の原因となります。
ピックアップ障害の原因はわかっていませんが、自律神経のバランスが崩れているせいではないかと考えられています。
卵管采は、自分の意志で動かすことはでいないので、自律神経がコントロールしています。
さて、ここで自律神経の話をしなくてはなりません。
誰もが知っている自律神経は、あまりにも複雑すぎて解明はほぼできていません。
もちろん解明できていることはあるんですが、あくまでわかっているのは表面的な部分だけです。
私たちの体の90%はこの自律神経によって支配されています。
ほぼ自律神経といっても過言ではありません。
もし病院で『自律神経失調症』といわれてしまったら、『自分を全否定された』ように感じてしまうのは私だけでしょうか?
そんな自律神経ですが、正確に検査することさえ難しいのです。
以前、病院勤務しているとき、『糖尿病患者の自律神経系とR-R心電図』というテーマで研究していました。
この時、自律神経評価法としてポピュラーだったのがR-R心電図といって、心電図の一番高い山と一番高い山の間を約100拍の時間を測り、その誤差を標準偏差や変動係数で評価するという方法です。
今ではフーリエ変換して評価できる機械もあります。
通常、心拍とは小さな誤差があり、一定ではありません。
しかし、自律神経障害のある糖尿病患者などでは、小さな誤差がなくなり、一定となります。
自律神経障害の評価法として用いられています。
他の自律神経の評価法としては唾液や発汗、脈拍、血圧などを用いて行う方法があります。
がしかし、あとで出てきますが、心臓、唾液、発汗、脈拍、血圧などは全部の自律神経を使っているわけではないので、評価も部分的になってしまうのです。
そこが自律神経の評価の難しさなのですね。
話を戻して自律神経には種類があります。
交感神経
副交感神経
内臓求心性神経
それぞれが拮抗、協力しながら働きます。
生きるために必要な『循環』、『呼吸』、『消化』、『代謝』、『分泌』、『体温維持』、『排泄』、『生殖』を管理しています。
自分で意識できないものすべてを管理しています。
脳、脊髄、自律神経の図を描いてみました。
簡略図にしようとすると書いてみると意外と複雑ですね。
簡単に言ってしまうと大脳辺縁系、視床下部、脳幹を通った情報が、
・交感神経は、背骨の横(交感神経幹)から出てきて、各種組織に行く
・副交感神経は、脳幹(中脳、橋、延髄)、仙骨(仙髄)から出てきて、各種組織に行く
・内臓求心性神経は、各種組織から背骨の横、頭、仙骨へと入り、脳幹、視床下部、大脳辺縁系へと行く
わけです。
こうして私たちの自律神経は、特に「ホメオスタシス」という一定を保とうとする働きを維持してくれます。
そして自律神経と特に関係の深いものとして「免疫」、「ホルモン」があります。
この3つは「ホメオスタシスの三角」と呼ばれ、常にバランスを取り合い動いています。
ホルモン分泌が悪い、風邪をひきやすいと思ったら自律神経の乱れを考えなくてはいけません。
こんなに複雑な自律神経は、とてもデリケートなんです。
当たり前のことを当たり前にするためのシステムなので、当たり前じゃないことをすると狂うこともあります。
夜寝るのは当たり前ですが、夜更かししたり・・・。
こういった積み重ねが不眠の原因になってしまう場合があります。
では本題のピックアップ障害ですが、自分ではコントロールできないの自律神経の関与があります。
ピックアップ障害の改善策、治療法や、妊娠するには・・・
根本的な治療法はまだ解明されていないため、排卵誘発剤を使って排卵する卵子の数を増やすという改善策があります。
数を増やせば、卵管采が上手く機能していなくても可能性が高まるのでは、と考えられているからです。
また、体外受精も排卵自体が行われているのなら、卵子と精子の出会う環境を人工的に用意してあげれば妊娠することができます。
ピックアップ障害の場合、体外受精を行うとかなりの確率で妊娠できます。
DOST(ドスト)法を用いる場合もあります。
卵子を採取し、精子と一定時間体外で混ぜ合わせた後に子宮内に戻す方法です。
体外受精のように受精卵に培養してから戻すのではなく、出会いの瞬間だけを手伝います。
治療の期間も1日ほどで終わりますし、体外受精に比べて費用が安くなるのが特徴です。
GIFT法もあります。
精子と卵子を合わせて「卵管」に移植する方法です。
自律神経のバランスの崩れによって起きると言われているピックアップ障害ですので、ストレスの解消やリラックスをするということが大切です。
針灸マッサージや整体は自律神経を整える働きがあり、リラックスさせるのでもってこいの方法ですね。
ご相談ください。